2026-08-24 — daily log
5km / 4'58/km
今日は膝に異常がないか検査をするために整形外科でMRIを撮ってきた。
筋肉の張りを緩めたり、炎症を抑えるようにしたことで膝の痛みはだいぶ軽減されていたが、古傷の前十字靭帯や半月板に問題がないか確認しておきたかった。
診断結果は軽い鵞足炎で、半月板への影響はないようでホッとした。
MRIの検査中に、音がうるさく退屈な筒の中で「怪我」ということについて考えていた。
怪我には瞬間的な力が加わることで発生するスポーツ外傷と継続したオーバーユースが原因となるスポーツ障害がある。
僕はそのどちらも経験してきた。
10年程前にハンドボールで膝の前十字靭帯断裂と半月板の損傷という大きめな怪我を負った。そのため他箇所の腱を靭帯に移植する手術を行なった。大谷などの野球選手が行ったトミー・ジョン手術の膝バージョンだ。
術後は腱を靭帯として馴染ませることや、筋力を取り戻すことが必要で、4ヶ月の運動を禁止させられ、怪我前同等の動きができるまでには1年必要だと言われた。
体を動かすことが全てだった当時の自分にはとても辛かったことを覚えている。
また、ランニングをしているとスポーツ障害に直面することはしばしばある。オーバーユースによって、膝の炎症や軽度の疲労骨折で一年に数回は何日間、何週間と走れない時期が続く。
こうして怪我と共に生きている人生ではあるが、改めて考えると怪我の発生から完治までに人体のミラクルを感じる。
これまで怪我の大小に関わらず、患部や原因を引き起こす箇所をあるべき状態に近づけて、自己治癒力に委ねて時間をかけて待つことで完治してきた。
膝の切れた靭帯を腱に置き換え、あるべき人体の状態にした上で、時の流れに任せることで靭帯として正しく機能するようになった。もちろん筋力強化などのリハビリは行なっていたが。
腸脛靭帯炎などのスポーツ障害も、トリガーとなる筋肉のはりをほぐし、体を正しく使えるようなフォームを意識して走るようしたことで自然と痛みがひいてきた経験がある。
ニュートラルな状態にする努力をし、あとは人間の自己治癒力に任せることで治ってきたのだ。
ここで時間をかけることの重要性を忘れてはいけない。
僕はこの普遍的な法則を無視したことで、前十字靭帯を再断裂している。術後4ヶ月で本気で体を動かしたところ、簡単に切れてしまった。
ランニングでも、走りたい気持ちが先走ってしまい体の状態から目をそらせて後悔することがよくある。心と体のバランスを取るのはとても難しい。
心が急いでいる時こそ、体の回復には時間を要するということを常に思い出したいものだ。
人体がこのような回復システムを持つことに加え、バランスを崩している際に怪我などの体の異変でアラートを上げる機能にも驚かされる。
最近アントニオ・ダマシオという神経学者の「意識と自己」という本を読んでいる中で、この仕組みの根底にあるホメオスタシスへの理解が深まった。
人間に備わっているホメオスタシスによって、体温調節機能が働くことで、冷えている時の不快感や身震いによって温めるための行動が促されることは日常でよくあることだ。
怪我、特にオーバーユースによるスポーツ障害も恒常性という観点で見ると、ニュートラルな状態から離れている際の体からのフィードバックと言える。
そう考えると僕たちの体の中には、走り過ぎやフォームの崩れを指摘してくれるコーチが住んでいる。体の不調や怪我などは体からの贈り物として見れるかもしれない。
そして、この贈り物を最大限受け取るには自分に対しての気づきが欠かせない。気づきがあれば、初期のアラートで怪我を防げるし悪化を防ぐことができる。
また、身体への気づきが原因をつきとめてくれる。自分の経験だけで原因を突き止められたらベストだが、治療院や医者に行くことが多い。
ランニングにおいての治療は一発で完治するという近道を期待する場所ではなく、回復へのきっかけをもらう場所だと思っている。
触ってもらったり針を打ってもらうことで体の硬さに気づき、その硬さを生み出す原因になっている動きなどを教えてもらえる。与えてもらった回復のきっかけを持って、日々の暮らしでニュートラルにしていく。
だからこそ治療や検査へ行く際に、自分の体のどこが痛くてどう動かすと痛いかまで把握している事がとても大切だと思う。
身体への気づきが強ければ、回復への素晴らしいきっかけをもらうことができる。
怪我の発生から完治までのプロセスを見ると、人体のミラクルを感じざるを得ない。
怪我はとても苦しいことだけど、身体のありがたみや、何事にも時間がかかるという自然の原理をリマインドしてくれる。
人体の恵みとも言えるプロセスをトータルで経験できるランニングはスポーツの枠を超えているのかもしれない。